忌 避 申 立 書
河村 昌弘
 
  申し立ての趣旨
 御庁平成11年(ワ)第13320号事件について、裁判長 高橋利文に対する忌避は理由があるとの裁判を求める。

   申し立ての原因
 申立人は、原告として被告江戸川区に対し損害賠償請求の訴えを提起し、目下平成11年(ワ)第13320号事件として、御庁民事第6部で審理を受けているが、同部の裁判長 高橋利文の、訴訟指揮・勤務態度には、以下に述べるように民事訴訟法にもとる不公正なところがあり、このような裁判長では、裁判の公正は望めないので、ここに本件忌避の申し立てをする。

   1 期日指定の不公正
 平成11回口頭弁論において、次回期日を指定する際、裁判長より、いつもと違う右陪席裁判官になってもよいかとの言明があった。これに対し、裁判官のピンチヒッターは困ると原告が上申したところ、裁判長は了解し、「内部の問題なので、内部でなんとかします。」と答えた。
 ところが、第12回口頭弁論では、何の説明もなく、これまでの平田直人右陪席裁判官でなく、違う右陪席裁判官が審理に入っていた。原告の抗議に対し、裁判長は、やむをえぬ事情で今回だけと答えた。
しかし、民事訴訟法は口頭主義(87条)、直接主義(249条)がとられており、裁判官の交代は例外的場合に行われるものである。異動の場合はともかく、そうでない場合は、同じ裁判官が継続して審理に携わるべきものである。常識的に考えても、病院の担当医がくるくる変わるようなものであり、このようなことでは、とうてい国民を納得させる公正な司法は期待できない。
 ましてや、原告が不慮の事故により、右肩関節脱臼、右腕神経麻痺の重傷を負ってしまい、準備書面の作成ができない状態の時、事前に書記官を通じて裁判所に期日の変更を相談したときには、診断書を作成されるとお金がかかるでしょうし、次回期日は、原告から書面が提出される予定の期日ではないので、弁論に来てほしい、期日については、予想全治期間との兼ね合いで相談することになるとの返答をしたにもかかわらず、期日において高橋裁判長は、「原告の疾病は原告の私事であり、弁護士を本来つけなくてはいけない事件なんだから、つける気もないんだろうけれども、裁判は公益的なものだから。」という理由で、予想全治期間を無視して期日の指定をしたのである。
 しかるに、裁判官の問題については、約束にも関わらず、いとも簡単に交代をさせてしまうのである。
 仮に、突然都合がつかなくなったとすれば、職権で期日を延期すれば良い話である。
 このような訴訟指揮は、身内に甘く、他人に厳しい、自己中心的と言われてもしようないものである。
 以上より、このような不公正な訴訟指揮をおこなう高橋裁判長には忌避理由があるといえる。

   2 証人採否の他事考慮
 第12回口頭弁論で、裁判長に証人の採否について確認したところ、原告申請の松崎証人は、遠方からでは旅費がかかるので、採用しないとの見解が示された。  原告は唖然としてしまったのであるが、そもそも旅費は、当事者が負担するものであり、裁判所には何の関わりもない。
 そもそも、証人の採否は、事案解明の見地から決定されるべきものは、論を待たないことで、上田徹一郎「民事訴訟法」P.378 二 証拠(申出)の採否 にも、「適法な証拠申出を採用しない場合には合理的理由がいる(たとえば申し出られた証拠の証拠力が薄弱であろうという単なる予断に基づく証拠申出の却下は許されない。)」とある。旅費がかかかるのは合理的理由とはいえず、裁判所の事務処理の煩を慮り他事考慮をするものであり、身内の便宜である。
 このような職務不熱心な訴訟指揮では、裁判の公正は期待できず、このような指揮をする裁判長に対する忌避理由があるものである。

   3 記録をきちんと検討しない
 第11回口頭弁論で棄却された(調書にはそうある)甲第58号証によれば、記録を読まないのは全く言語同断という裁判官の発言があげられている。
 原告は、前裁判長に比べて、高橋裁判長の発言が要領を得ないので、もしや、医学・理数系の専門用語が頻発する本事件では、裁判官もわからない概念があるのかと思い確認したところ、(司法試験を受験するには大学一般教養課程を修了するか、同等の知識を要するので本来本事件の内容は、理解しえて当然である)、高橋裁判長は激怒され、原告を非難した。
 その課程で、記録をきちんと読んでいらっしゃるのかと原告が問うたところ、裁判長は一瞬沈黙され、「なるたけ読むようにしている。」と返答された。
 しかし、「なるたけ」では、記録をきちんと読んでいないのを自白したものである。記録を斜め読みし、訴訟指揮をするのでは、争点が混乱してしまい公正な裁判は望めない。
 このような職務不熱心な裁判長には忌避される理由があるものである。

   疎明資料
疎甲第1号証 陳述書
申立の原因記載事実を立証する。
疎甲第2号証 陳述書
       申立の原因記載事実を立証する。
疎甲第3号証 補佐人申請書
 高橋裁判長が、「原告の疾病は原告の私事であり、弁護士を本来つ       けなくては行けない事件なんだから、つける気もないんだろうけれ       ども、裁判は公益的なものだから。」と発言したことを証する
疎甲第4号証 本案事件の甲第58号証
裁判官はきちんと記録を検討すべきであることを立証する。

   平成13年9月23日
上記申立人 河村 昌弘
東京地方裁判所 御中



陳   述   書
          氏名  菅野 拓  かんの たく
          年齢  西暦1956年(昭和31年)3月26日生まれ
          職業  総務事務官

 
 以下に、私がこの目で直接見、この耳で直接聞いたことを陳述いたします。全て真実であり、一切の虚偽を含まないことを陳述いたします。
 もし、これがウソだった場合には、今すぐ閻魔様に舌を抜かれても構いません。 


           西暦2001年(平成13年)8月27日

                           菅 野   拓




東京地方裁判所 御中
(一)
  私は、2001年(平成13年)5月28日の午前10時に、東京地方裁判所 721号法廷で開かれた、御庁平成11年(ワ)第13320号事件(以下、原告 の名を取って「河村さんの事件」と言います)の第11回口頭弁論を傍聴しまし た。
  この日は、同じ時間にもうひとつの事件が入っていて、そちらの弁論が先に行 われましたが、内容を聞いていると、医療過誤事件で、被告は医療法人であるこ とがわかりました。10分ほどでその事件が終わり、河村さんの事件の弁論が始 まりました。
  以後、約15分間、河村さんの事件の弁論が終了するまで、私は傍聴席で一部 始終を見聞していました。これから述べることは、傍聴席で見聞した事実です。

(二)
  さて、当日の弁論における、次回期日指定に関する訴訟指揮ですが、弁論の終 わり頃に裁判所と原被告間で、次のようなやりとりがありました。
   裁判長「次回期日ですが、えーと7月30日ではどうでしょうか」
   被告代理人「午前ならお請けできますが」
   裁判長「午前です。原告の都合はどうです」
   河村さん「はい、結構ですが、裁判所の構成は同じですか」
   裁判長「あっ、構成が変わるな」(と言いながら右陪席と何やらボソボソと    内緒話をする)
   裁判長「同じ構成でということになると、他の期日になるけど、うーん、こ    の日を飛ばすと、ずいぶん先まで入らないなあ」
   河村さん「原告は迅速な審理を望むものですが、簡単に裁判所の構成が変わ    るというは、憲法上の裁判を受ける権利との関わりで問題があると考えま    す」
   右陪席裁判官「(裁判長に何やら耳打ちしている)」
   裁判長「(右陪席に向かって)だいじょぶ?」
   右陪席裁判官「はい、だいじょぶです」
   裁判長「何とかこの構成で行けるので、では7月30日に次回期日を指定し    ます」
   河村さん「裁判所の構成は変わらないということですか」
   裁判長「ええ、この構成でやります」
  というやりとりが示すように、裁判長は法廷で次回期日の裁判所の構成が変わ らないことを言明しました。やりとりをお読みいただければ、裁判長も裁判所の 構成が決して軽々しく扱われるべき問題ではないということを認識した上で、訴 訟指揮の裁判をしており、ところが、これが次回期日で簡単に反故にされたとは 驚き呆れるばかりです。
  なお、河村さんの話では、河村さんの事件の裁判長は、河村さんが、以前不慮 の事故で右肩関節脱臼、右腕神経麻痺の大ケガをし、そのことを理由に期日変更 を申し出たところ、「原告の疾病は原告の私事であり、弁護士を本来つけなくて はいけない事件なんだから、つける気もないんだろうけれども、裁判は公益的な ものだから」と、とんでもない放言をなして、ケガの状況を無視して期日指定を したということです。事実ならば、絶対に許せない話です。
  この裁判長の「弁護士を本来つけなくてはいけない事件なんだから」云々は、 日本の裁判が、当事者など無視して、法曹三者の談合の場に堕していることの自 白です。
  実は、私が傍聴したこの5月28日の法廷でも、河村さんの事件の前の医療過 誤事件の弁論で、いかにもという出来事がありました。原被告とも弁護士を代理 人に立てている事件でしたが、被告側の代理人が医者と看護婦の陳述書が間に合 わなかったと言い出したのです。
   被告代理人「本日提出のお約束をしていた医師と看護婦の陳述書ですが、な    にぶんご本人たちが多忙で、まだ用意できていないんですが」
   裁判長「どのくらいかかるんでしょうか」
   被告代理人「はあ、なにぶん忙しい仕事なので、もう少しかかるかと…」
   裁判長「2週間くらいあれば、なんとかなりますかね」
   被告代理人「わかりました。それくらいで何とか書いていただこうと思いま    すが」
   裁判長「ではなるべく早くということでお願いします」
  このやりとりを聞いていて、私は、ああやっぱり法曹三者はグルだなあと改め て思いました。河村さんには、大ケガをしても期日指定を配慮しないのに、弁護 士が都合が悪いというと、証拠の提出期限をいともたやすく延ばすのです。それ こそ、「本来」ならば証拠の申し出を失権させてもいいはずです。
  たった1回の傍聴ですが、この裁判長が不公正であることは、肌で実感できま した。

(三)
  5月28日の弁論は、前の医療過誤の事件と打ってかわって、河村さんの事件 は異様な雰囲気で始まりました。
   裁判長「あなたね、弁論のたびに上申書とかいうのを出してくるけど、これ    どういう意味なの」
   河村さん「訴訟進行についての意見です」
   裁判長「私が記録を読んでいないとか、そんなことばかり書いているけど、    なんでそんなことが分かるんですか」
   河村さん「以前、裁判長が要領を得ないことを言われたので、原告としては    記録を読んでいただいているのか、心配になったのです(ここで具体的に    裁判長の不得要領の発言事実を河村さんは指摘していた。私は具体的な内    容までは把握できなかったが、全体の文脈には影響はない)」
   裁判長「私はね、なるたけ記録は読むようにしてますよ。それを読んでない    とは、どういうことですか」
  こんな風に、裁判長の感情的な口調で始まった弁論でしたが、裁判長は、訴訟 進行に関して河村さんが提出した証拠を、すべて本案の主張と何の関係もないと 言って「提出を認めません」と斥けました。
  この証拠を斥けたこともさることながら、私がビックリしたのは、裁判長が「な るたけ記録は読むようにしていますよ」と、カッとして本音をもらしたことです。 これは、記録は満足に読んでいないということの自白です。いかに、現実の裁判 官がロクな仕事をしていないかの現れですが、これも裁判が法曹三者の談合の場 と化して、人の目の届かぬところで好き放題していることと密接につながってい るのです。
  私は、裁判官が、大ぴらっに記録を読んでいないことを法廷で居直るのを目に しました。本音の部分だけでなく、建前においてもこの国の法廷は滅茶苦茶にな っています。

(四)
  以上のとおり陳述いたしますので、裁判所においては、恥という字を胸に刻ん で、せめて建前だけでも法の支配が存在することを示していただけるよう、お願 い申し上げます。

                                  以上


陳述書
氏名 河村 昌弘               

       平成13年9月23日

東京地方裁判所 御中

1 裁判官の交代について
 平成11回口頭弁論(平成13年5月30日)において、次回期日を指定する際、裁判長より、次回期日の7月30日はいつもと違う右陪席裁判官になるとの仰せがありました。これに対し、裁判官のピンチヒッターは困るのでほかの日ではと原告が上申しましたところ、裁判長も了解されました。原告が「裁判所も都合が悪いとおっしゃいましたが、大丈夫ですか。」と再度確認しましたところ、「これは内部の問題なので、内部でなんとかします。」とお答えになり、7月30日を指定されました。
 ところが、第12回口頭弁論では、何の説明もなく、これまでの平田直人右陪席裁判官でなく、違う右陪席裁判官が審理に入っていました。原告が「前回なんとかするとおっしゃったのにどういうことですか」と抗議しましたところ、裁判長は、やむをえぬ事情で今回だけと答えました。

2 第5回口頭弁論(平成12年5月15日)の期日指定にについて 
 第5回口頭弁弁論の前、原告が不慮の事故により、右肩関節脱臼、右腕神経麻痺の重傷を負ってしまい、右腕が動かず、準備書面の作成ができない状態になりました。当然被告も絡むことですし、事前に書記官を通じて裁判所に期日の変更を相談しました。その時には、診断書を作成されるとお金がかかるでしょうし、次回期日は、原告から書面が提出される予定の期日ではないので、とりあえず弁論に来て下さい、期日については、予想全治期間との兼ね合いで弁論当日に相談ということでとの返答がありました。原告は足は動きますので、そのようにすることにしました。 期日において予想全治期間後に期日を指定してほしいという要望をしましたところ、高橋裁判長は、被告からの異議もないのに、「原告の疾病は原告の私事であり、弁護士を本来つけなくてはいけない事件なんだから、つける気もないんだろうけれども、裁判は公益的なものだから。」という理由で、原告の要望を無視して期日の指定を職権でされました。
 後日、医師とも相談しまして、駄目元で診断書を添付して再度期日の変更の申し立てと、期日が変更されない場合に、補佐人を許可してもらうよう申請しましたところ、なぜか今度は期日が変更されました。
 一体なんだったんだろうと思いました。弁護士をつけない原告に対する嫌がらせだったのだろうと思いました。

3 第12回口頭弁論の証人採否について
 第12回口頭弁論(平成13年7月30日)で、裁判長に証人の採否について確認しましたところ、理解し難い理由が多かったのですが、特に原告申請の松崎証人は、遠方からでは旅費がかかるので、採用しないとおっしゃいました。原告は唖然としてしまいました、そもそも旅費は、原告が予納するものであり、裁判所には何の関わりもありません。
 
4 第11回口頭弁論でのやりとり
 原告は、前裁判長に比べて、高橋裁判長の発言が要領を得ないので、ひょっとして医学・理数系の専門用語が頻発する本事件では、裁判官にもわかりにくい概念があるのかと思い、本件につき、わかりにくいところは遠慮せずに原告に確認してほしいと上申しましたところ(司法試験を受験するには大学一般教養課程を修了するか、同等の知識を要するので、高等数学、生物学は知っていて当然であり、本来本事件の内容は、理解しえて当然ではありますが)、高橋裁判長は激怒され、「なんでそんなことを聞くんだ。」とおっしゃいました。
 原告は「裁判所に原告の主張、特に書面の内容を把握してもらいたいです。うまく伝わっているのか、伝わっていないならば、さらに説明しなくてはならないと考えるからです。」と答えましたところ、裁判長は何の根拠がある旨おっしゃいますので、甲第58号証(疎甲第4号証)を示しました。それに対して裁判長は激怒されました。
 原告は、「裁判所がそんなの原告の思い違いだとおっしゃるのであれば、やはり裁判所はしっかりしていると言うことで、原告は安心したということになるので、それでいいのではないでしょうか。」と申しましたが、あまりに高橋裁判長が怒るので、記録にきちんと目を通されているんのかどうかと問いましたところ、高橋裁判長は一瞬沈黙され、「なるたけ読むようにしてますよ。」と返答されました。
 「なるたけ」とは原告を馬鹿にした対応と思いましたが、正直な方だなあとも思いました。とにかく、本案の審理にも入る前に本案と関係のない低レベルな話をつづけるのもあまりにも馬鹿馬鹿しく、とりあえず原告はだまりました。
さらに、高橋裁判長が、この上申に関わる主張。書証を記録から削除すると言いましたので、原告は「陳述をしたのですから、記録には残してください。陳述の内容が正しいかどうかは、別の話で、裁判所にとっては原告が何を言おうと関係ないのではないですか。」と申しました。
これに対し、高橋裁判長は、記録に書く必要はないと言い、原告が「弁論を制限されるんですね。」と申しましたところ、「弁論を集結します。」と答えました。

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