不正告発の健保常務に報復人事示唆 東京社会保険事務局

 健康保険組合幹部からの接待で処分された東京社会保険事務局の保険部長が01年、この健保組合の不正を内部告発した常務理事に「上司をさしたことになるので、それ相当のペナルティーは覚悟してもらいたい」と報復人事を示唆していたことが関係者の話でわかった。常務理事は休職となり、翌年、退職に追い込まれた。この部長は「発言が誤解された」としている。

 元常務理事は、現職だった01年8月23日、勤務先の東京都小型コンピュータソフトウェア産業健康保険組合で、上司の専務理事が業務委託先の業者と癒着しているとした手紙を同保険事務局と組合の理事長に送った。

 元常務理事の話によると、同月27日、東京・西新宿の事務局に呼び出され、保険部長から「ペナルティー」を通告された。別の事務局幹部からは「職を失ってしまうことになるのに、思い切ったことをしましたね」と言われたという。

 まもなく事務局から、組合を退職することを前提に、別の業界の厚生年金基金に再就職するよう勧誘された。元常務理事は「役所のお世話になりたくない。今の勤務先に愛着がある」などと拒否したという。

 元常務理事と専務理事は事務局OB。関係者の話を総合すると、同事務局は事実上、65歳までのOBの天下り人事を動かしているとされ、こうした力を背景に、再就職先を世話する一方で退職を迫ったものとみられる。

 この動きと並行し、組合の理事長らは内部調査を実施。同年11月、「業務に独断専行があった」などの理由で専務理事を懲戒解雇した。元常務理事は復職を希望したものの理事長に断られ、翌02年9月末に退職した。

 理事長は朝日新聞とテレビ朝日の取材に対し、常務理事を退職させた理由について、「彼は全部を知っていた。当然、我々にもっと早くそれを言わなければいけない」と内部告発の遅れを指摘した。一方で、「彼に言っていただいたから、組合も改善され、ある意味ではありがたいと思っている。退職金など処遇面でそれなりのことをした」という。

 保険部長は今年3月に退職した。取材に対し、みずからの発言内容を認めた上で「専務理事と組んで2人でやっていたのに、なぜ、告発したのか、と思った。本人の面前ではそう言いづらかったので、ああいう言い方になった。誤解された」と語っている。 (朝日新聞 07/23 09:02)




告 発 状
告発人
住所 東京都江戸川区
氏名 河村昌弘
電話 

住所 愛知県名古屋市
氏名 宮崎邦彦
電話 


被告発人
職業 元東京社会保険事務局保険部長
氏名 不詳

職業 東京社会保険事務局幹部
氏名 不詳

  平成15年11月26日
                               上記 告発人
河村昌弘

宮崎邦彦

           
東京地方検察庁 御中


 被告発人 氏名不詳 元東京社会保険事務強幹部,及び氏名不詳 元東京社会保険事務局幹部 は脅迫罪(刑法第222条)に該当する行為をなしたと思料されますので,厳正な刑事手続きがなされることを求め,告発致します。

告発事実
1 氏名 不詳 元東京社会保険事務局保険部長(以下 保険部長とする。)は、2001年8月27日に、氏名 不詳 元東京小型コンピュータソフトウエア産業健康保険組合(以下 保険組合とする。)常務理事(以下 常務理事とする。)が、同組合の上司の専務理事が行っている不正を内部告発したのに対し、「上司をさしたことになるので、それ相当のペナルティーは覚悟してもらいたい。」と伝えた。
2 氏名 不詳 東京保険事務局幹部(以下 事務局幹部とする。)は同日「職を失ってしまうことになるのに、思い切ったことをしましたね」と常務理事に伝えた。
3 保険部長、事務局幹部の行為は、常務理事が保険組合において職業を遂行する自由(憲法22条第1項)に対する害悪の告知であり、また、内部告発によって不正を告発したという正しいことをしたという常務理事の組合内での名誉に対する害悪の告知である。なぜなら、判例では、いわゆる村八分の告知が脅迫罪に該当するとされ、通説も名誉に対する脅迫と解している(大阪高判昭和32.9.13など)。会社組織から人事を左右しうる者から内部告発者として解雇の可能性を告知することは、会社組織という共同体において疎外されるという点において、村八分と異なるところがないからである。さらに言えば、生計の道を断つという点において、畏怖させる程度は村八分よりも強いものである。
4 東京社会保険事務局(以下 保険事務局とする。)は事実上、65歳までの事務局OBの天下り人事を動かしているのであり、保険事務局の保険部長、幹部は、常務理事の自由、名誉に対する害悪を支配しうる立場にある。学説上も告知者が害悪を影響し得ると被告知者に信じさせれば脅迫は成立するとされているのであるから、保険部長、幹部の立場からして、単なる警告を越えた脅迫を構成する害悪の告知と言える。
5 特に本件では、常務理事の内部告発によってはじめて不正が発覚し、その結果、保険部長をはじめとする保険事務局職員13人が国家公務員法に基づく懲戒処分を受けている。このような不正を反省するでもなく、正しいことを行おうとした者に対し、影響力を行使してもみ消そうとする態度は厳に戒められなくてはならないものである。このような内部告発つぶしの責任は極めて重く、厳正に摘発がされなければならないものである。
6 以上より保険部長、事務局幹部の行為は脅迫罪に問責されるべきものであると思料するので告発致します。

添付資料
朝日新聞 (平成15年7月23日)

以上


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