2005年たばこ規制法を修正する法律

(翻訳:河村昌弘)

 
喫 煙 所
 
 
 
このファクトシートは基本的な情報のみである。医師の勧告や、診断、診療の代替であってはならない。健康上の懸念について、食事や生活方式や治療方法を変更する前には、医療関係者に相談するようにしなくてはならない。
 
・2005年たばこ規制法を修正する法律によって、2006年5月31日までにすべての地域において、閉鎖空間である職場、公共の場所を完全禁煙にすることになる。喫煙所は撤去されることになる。
 
受動喫煙
 
・受動喫煙は死と多くの疾患の原因であることについては、非喫煙者である配偶者の研究に基づいた科学者達の世界的合意がある。例えば、心臓病では、平均リスクが25〜30%増加し、肺ガンでは20〜30%増加する。
  接客業従事者などの暴露量の多い者達においては、さらにリスクが高くなると考えられる。
 
・副流煙は4000以上の化学物質を含み、そのうち50以上が発ガン物質であるか、発ガン性が疑われている。副流煙は、国際がん研究機関(世界保健機構(WHO)の一機関)、米国国家毒性計画と米国環境保護局において、確認されている人体への発ガン物質としてこれまでずっと分類されている。
 
暴露許容量と空気環境基準
 
・世界のどの科学の権威も健康所轄官庁も受動喫煙の安全量を見いだしていない。実際、世界の科学者と医療の権威の間では、受動喫煙を強いられることはなくすべきであるという合意がある。
 
・米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)は建物内における換気の基準を設定する世界的権威である。これらの基準はカナダでも広く基準として使われている。この基準の目的は、換気量と室内空気環境の最適基準を設定し、建物内の人間にとって許容できる水準にし、健康に対する潜在的悪影響を最小にすることにある。
 
・現在の室内空気環境基準(ASHRAE 基準62.1-2004)は、たばこ煙が室内にある場合の換気量の基準を設定していない。セクション6.2.9では、次のように記載されている。
 
 「喫煙場所は、非喫煙場所に比し、より多くの換気、空気の浄化がなされなくてはならない。特定の換気量の指標は、管掌する権威がたばこ煙のついて許容しうる危険内となる濃度を決定するまでは、決定することができない。喫煙場所からたばこ煙は環流してはならないし、非喫煙場所に漏れだしてはならない。」
 
 管掌する権威は以下のように定義されている。
 
 「専門性と空気環境の基準量について設定権と規制する権限を持っている機関、機構;あるいは、空気環境のガイドライン、限界量、濃度を設定することについての専門性を持った機関、機構。」
 
換気と喫煙所
 
・カナダでのいくつかの地域では別系統の換気を持つ喫煙所の設置を許している。例えば、ブリティッシュ・コロンビアでは、分離された、別系統の換気の喫煙所での喫煙が許されている。労働者は労働時間の20%を越えない範囲で喫煙所内に入ることが許され、また、使用者は喫煙所に入ることを拒否した労働者を差別してはならないとしている。労働災害補償法は喫煙所の構造と換気についての基準を設定している。そして、それは、ASHRAEの定める基準62-1989の”室内環境で許容しうる換気”における喫煙ラウンジの要求に適合している。しかし、この基準は1999年にたばこ煙に関して、換気基準を設定できないというふうに改められていることに注意しなくてはならない。
 
・カナダたばこ対策キャンペーンによれば、推計500から600の喫煙所存在する(700の喫煙所があることを示す推計も存在している。)。いくつかの喫煙所は既に閉鎖されたか、条例によって、消滅中である。オンタリオの446の市町村のうち、253が条例によって、公共の場所、職場が禁煙となっている。180は公共の場所、職場共に禁煙となっている。136は本修正法と同じく喫煙所の設置を認めていない。44は喫煙所の設置を認めている。
 
・多くの喫煙所が作られたという事実にも関わらず、受動喫煙をなくすような換気設備は見いだされていない。それゆえ、労働者や公衆は、喫煙所の中で、受動喫煙にさらされるし、また、非喫煙場所にいる者についても、制御できない煙の漏れにより、受動喫煙が生じてしまう。
 
・1998年、米国の研究会は換気技術の専門家を集めた。そこでは、換気技術では、室内空気からたばこ煙をきちんと排気することはできないと結論づけられた。しかし、特定の理想的な状態で、置換換気という未だ証明されていない技術で、たばこ煙を室内から90%除くことができる可能性があるとの推論が出された。受動喫煙リスクの国際的権威である、ジャームズ リペースは、カリフォルニア州の健康サービス局から諮問され、上記の見解を分析した。リスクアセスメント手続を用いて、彼は、推論が正しいと仮定したとして、環境汚染物質に対して公衆衛生上通常期待される水準を達成するためには、希釈換気では2万項目の要素の改善、置換換気では2千項目の要素の改善が必要となるであろうと述べた。それゆえ、彼は、受動喫煙の危険を除く唯一の方法は室内禁煙だと結論している。続いて、リペースとその他の研究者は室内禁煙法が実際、受動喫煙の測定量を90から95%減少させることを発見している。
 
・たとえ、喫煙所が条例で設定されたガイドラインに従って作られたとしても、それらは適切にメンテナンスされなければならない。例えば、ヨーク地域で2001年から2003年までに作られた喫煙所を最近再検査してみた。これらは、再検査が事前に通知されたにもかかわらず。78%もの施設が換気の不具合や、喫煙所の利用人数が多すぎて、条例によって設定された換気基準に達していなかった。
  そのうえ、たとえ、最良に作られた喫煙所でも非喫煙場所への漏れだしが見られているのである。 
 
喫煙所の作成と維持費用
 
・ 喫煙所は接客業者にとって、遊休場所とはならない。なぜなら、それは設置と維持にとても金がかかるからである。例えば、ヨーク地域において、喫煙所をつくるには、5万ドル(15人以下の定員の喫煙所)から25万ドル(定員50人以上の喫煙所)の費用が必要である。これらのコストは業者にとって、足かせとなる。この喫煙所のコストは業者のみだけでなく、納税者の肩にものしかかる。ヨーク地域では、喫煙所の検査・監視におおよそ年間15万ドルが費やされている。


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